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行政書士に依頼したほうが良いのか? |
これまで、家族のビザ申請手続を手伝ってきましたので、ビザ申請の経験はあります。しかし、何回申請しても、「1年」ビザしか更新許可されず、このままで良いのか不安です。やはり、行政書士さんに、相談して、依頼したほうが良いのでしょうか。 |
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先日、東京入管のある審査部門で、このような光景を目の当たりにしました。
若いアジア系外国人女性が、入管職員に、「行政書士に依頼したほうが良いか」と尋ねているのです。たまたま、隣にいたため、そのやり取りが耳に入ってきました。入管職員は、「行政書士さんに依頼しても、事実は1つ。誰が書類を作成しても、事実は変わりません。行政書士は専門家ですから、入管が見やすく、読みやすいように、書類をまとめてきますが・・」との回答、女性はホッとした様子で、その場を立ち去りました。
この女性は、どうやら、本人で申請した手続が不許可になり、入管を訪問していたようですので、この女性のホッとした様子というのは、おそらく行政書士に依頼するとなると、費用が掛ってしまうことが心配だったのかもしれません。それが、行政書士に依頼してなくても、本人で再申請できると思い、安心したのかもしれません。
しかし、ここでのポイントは、2つあります。1つ目は、そもそも、不許可という判断を出した、いわば利害が対立する相手方である入管に、「行政書士に依頼したほうがよいか?」と尋ねるのは、おかしなことです。
不許可になったのだから、そもそも単純で簡単な案件ではありません。優秀な行政書士に依頼をされて、この行政書士が、専門家の視点から、本件を分析して、それに従った立証活動を行い、適切な法的主張を行うとなると、入管としては、厄介で、面倒な案件、慎重に、丁寧に処理しなければならない手間の掛る案件が1件増えてしまいます。
このことは、先の入管職員の回答にも、はっきりと現れています。この入管職員は「・・・入管が見やすく、読みやすいように・・・」と、あくまで“入管”側の視点でしか、回答していないのです。入管側からすれば、この若い女性の立場に立って、この女性にとって、最良の選択肢を考えているわけではないのです。入管側からすれば、行政書士に依頼してもらわないほうが都合が良いのです。
誰が手続を行なっても許可される単純な案件ならば、行政書士が担当したほうが、書類も整理されて見やすいので、入管にとっては好都合ですが、難解な案件で、行政書士が適切な法的主張を行い、一筋縄ではすまない申請が行われると、手間が掛って大変だということです。
2つ目は、「誰が書類を作成されても事実は1つ」という点も大変おかしいです。法律の世界でいう、事実というのは、“証拠により証明されたもののみが事実”ということです。本人申請の場合、法律の専門家ではないのだから、どのような証拠に基づいて、どのような立証活動を行えばよいのか分からないのです。
もし、この入管職員の回答が正しいならば、私たちの事務所に依頼されて、許可を手にされた多くの案件は、どのように説明するのでしょうか。私たちの事務所には、本人申請で不許可になり、地元の行政書士の先生に断れたり、あるいは地元の先生に依頼しても不許可になった案件が、日本全国から、たくさん寄せられます。こういった案件を、私たちの事務所に依頼されて、許可を手にされた方々が、日本全国にたくさんいらっしゃいます。
裁判の場面を考えてみると分かりやすいかもしれません。「誰が書類を作成されても事実は1つ」だったら、弁護士に依頼する必要はありますか?誰が手続を行っても、自動的に勝てるような案件なら、弁護士は不要でしょう。しかし、自己の正当性を正しく主張し、立証していかなければ勝てない場面では、弁護士に依頼しなければならないこともたくさんあるはずです。事実は1つではありません。“証拠により証明されたもののみが事実”です。自己の正当性を正しく主張し、事実を立証していく、そこに、本人申請と専門家の違いがあります。 |
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